ベトナム進出
はじめに
ベトナムへの進出
米中間における貿易摩擦を契機に、近年のベトナムは最も有望な投資先の一つとして世界中の企業や投資家から注目を集めています。ベトナムに投資をするには、適切なライセンスの取得が必要不可欠です。
日本人や日本企業がベトナムへ進出する際、通常の場合は、現地法人を設立することが想定されます。その際、最初に取得しなければならないライセンスは、投資登録証明書(IRC)です。IRCの取得には、従事する事業の厳密な登録や、資金の借入枠の設定が求められるなど、ベトナムの外資制度に基づく法的要件は多岐にわたるので、日本国内で会社を設立して活動するのとは、その法律や実務は大きく異なります。
FEASIBILITY RESEARCH
事前調査の重要性
外資規制
ベトナムへ進出するにあたり、まずは、ベトナムで予定している事業がベトナム特有の外資規制において実施可能な事業分野に該当するか、そしてその規制内容について事前に調査をすることが推奨されます。外資規制により、ベトナムへの進出が禁止または制限されている事業分野は多く存在しています。
ローカル規制
日本企業の場合、その多くはベトナムの工業団地、輸出加工区、ハイテク地区や経済特区で操業することが想定されますが、各々に独自の規制や行政手続が定められています。
進出形態
駐在員事務所、支店、プロジェクト企業、法人
日本人や日本企業がべトナムの進出する場合、主に、下記の4通りの進出形態があります。
日本国内において法人が設立されてから1年以上が経過している日本企業は、日本の本社との連絡業務、ベトナムでの投資やビジネス機会を探る市場調査等のため、駐在員事務所を設立することが可能です。しかし、駐在員事務所は、直接利益が発生するビジネス、サー ビスの提供、契約の締結、直接的な販売促進、広告展開を行うことはできません。
日本の本社の拠点として、営利活動を実施することが可能です。銀行などの金融機関は、資本金規制が存在するため、支店形態で進出していることが多いです。なお、銀行業、情報産業、法務サービス、管理コンサルティングサービス、フランチャイズサービス、保険サービス等いくつかの事業を除き、多くのサービス業に対して、ベトナムは支店設立形態を認めていません。
日本人や日本企業が、ベトナムで現地法人を設立せずに、契約によって事業案件を請け負う場合、その案件を実施するプロジェクト企業を新規設立しなければなりません。
プロジェクト企業の新規設立は、主に下記のような建設案件で用いられています。
- BOT(建設・運 営・譲渡)契約
- BTO(建設・譲渡・運営)契約
- BOO(建設・所有・運営)契約
- BTL(建設・ 譲渡・リース)契約
- BLT(建設・リース・譲渡)契約
- O&M(運営・管理)契約
- その混合契約
ベトナムで現地法人を設立することによって、日本人や日本企業は、ベトナム国内におけるビジネスの実施、契約の締結、販売促進、広告、商品・サービスの 展示・紹介、展示会への参加等の営業活動を実地することが可能になります。
そこで、もっとも重要な手続きとなるのが、投資登録証明書 (Investment Registration Certificate = IRC)および企業登録証明書(Enterprise Registration Certificate = ERC)の発給申請です。通常の場合、まずIRC、その後にERCを取得するという二段階での行政手続きを実施しなければなりません。しかし、IRCとERCの申請先の管轄が計画投資局(DPI)の場合には、これらの発給申請を同時にDPIで行うことも可能です。
法人の設立には - IRC
Investment Registration Certificate – 投資登録証明書
日本人や日本企業が、ベトナムで現地法人を設立する場合、まずは、ベトナムで営む予定の事業「投資」について事前審査を受け、投資登録証明書(IRC)を取得しなければなりません。そのためには、出資金額、定款資本金、事業内容、投資実施場所、人材採用計画、環境対策、プロジェクト設計、建設等の経営に関する計画を取りまとめる必要があります。
投資プロジェクトの実施申請書(案件によっては投資プロジェクトの提案書)に必要書類を添付して、IRCの発給を申請します。
事業内容によって発給機関が異なりますが、通常の場合は、計画投資局(Development of Planning and Investment – DPI)が申請先です。
製造業の場合には、工業団地等の内に法人が設立されることが想定されますので、その場合には工業団地等の管理委員会が申請先となります。
投資プロジェクトの実施申請書に加え、通常の場合、下記の書類を提出する必要があります。
- パスポートの公証写し(個人の場合)
- 現在事項全部証明書の公証写し(法人の場合)
- 出資者の直近2期分の決算報告書(法人の場合)
- 金融機関の残高証明書(個人の場合)
- ベトナムにおける事務所の賃貸借契約書
添付書類は、日本の公証役場での公証、日本国外務省または在ベトナム日本国大使館(総領事館)による認証、在日本ベトナム大使館又は領事館による認証、ベトナム国内の公証役場による翻訳・公証等を要します。
- 投資プロジェクト番号
- 投資家の名称及び住所等投資家に関する情報
- 投資プロジェクトの名称、所在地、目的、規模、投資額、実施期間、実地進捗
- 投資優遇措置
- 付随条件
IRC の申請時に、予定する事業内容について、ベトナム標準産業分類(VSIC)または、国連中央生産分類(CPC)という産業コードを特定して登録する場合があります。例えば、 プラスチック製品加工はVSIC 2220 、 電子部品製造はVSIC2610 、自動車部品製造はVSIC2930といった 事業目的の登録が必要になります。
なお、IRCの発給後に、未登録の新規事業に着手する場合、事業目的の追加が必要となります。事業目的によっては、外国投資家の投資が禁止または制限されている分野があります。
IRCの取得後
Enterprise Registration Certificate
ERC = 企業登録証明書
IRCの発給を受けたら、ベトナム法人の設立手続を行うことが可能になります。通常の設立手続は、企業登録申請書を、計画投資局(DPI)に属する企業登録室に提出し、企業登録証明書(ERC)の発給を申請します。当局よりERCが発給されますと、ベトナム法人が設立されたことになります。
ERCの発給申請手続き=ベトナム法人設立手続きの詳細につきましては、「ベトナム法人設立」をご参照ください。
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